これでいいのだ!(7) 父と子

父と子の関係は難しい?親子の距離感は変化する
息子は、父親のことが大好きです。
尊敬もしているみたいです。
私のことは、・・・そうでもありません。
なぜかというと、私は長年、息子の思いを尊重せずに、なんとか学校に行けるように過干渉を繰り返してきたからです。
逆に、夫は、息子に対して一度も「学校へ行け」とも「勉強しろ」とも言ったことはありません。
息子の好きなことや興味を持っていることに寄り添ってきました。
ですから、私に対して息子は、心から安心できないのかもしれません。
夫は、自分が生きづらかった中で、好きなことを仕事にして、なんとか社会に適応して生きてきました。
似たような特性を持つ息子には、「好きなことや自分が幸せだと思うことをやればいい」と言ってます。

息子と夫の仲が良いことを専門家との面談や親の会で話すと、たいてい驚かれます。
珍しいケースだと言われます。
話を聞くと、二十歳前後で、進学や就職をめぐって関係が悪化している場合が多いようです。
多くの男親にしてみれば、社会の厳しさを知っているだけに、特に同性である息子への要求や期待値が高くなります。
「自分はこれまでやってきた。そんなんじゃだめだ。甘えている」という思いが強いのだと思います。
子どもにしてみれば、自分の苦しさを分かってもらえないと感じ、心を閉ざしてしまいます。
対話がなくなり、親子でコミュニケーションができなくなるのは、とても残念で悲しいことです。
あるセミナーで、とても熱心なお父さんに出会いました。
いつも会場の前列に座って、講師にも熱心に質問されていました。
セミナーの後で一緒にお茶した時に、「とても熱心で、すごいですね」と話すと、
そのお父さんは、「妻は、毎日娘のことで大変なので、休日に自分がこれくらいのことをやるのは、当たり前です」とサラッと言われました。
勉強も家で教えているみたいで、進学や結婚のことまで真剣に考えておられました。
私は、(今の若いお父さんはすごい!)と感心しました。
でも、しばらくたって、なんだかその娘さんが気の毒に思えてきました。
だって、家の中にお母さんが二人いるようなものですから。
娘さんの思いをよそに、親は良かれと思って先回りして、過干渉になっているかもしれません。(以前の私です)
親子関係は、それぞれの家庭で異なり、親子の距離感は、成長と共に変わってきます。

でも、家庭は、子どもにとって自分を受け入れてもらえて、安心して過ごせる場所でありたいものです。
また、子どもが親に悩みや苦しみを相談できる関係も大切です。
それがないと、傷ついた子どもは、癒されることもなく、前に進めません。
私も息子と、時間はかかっても、信頼関係を築いていきたいと思っています。