これでいいのだ!(9)吹きこぼれる子供たち

IQが高い人(ギフテッド)にも合わない、日本の教育
ギフテッドという言葉を聞いたことがありますか?
先天的に高い能力(IQ=130以上)を持っている人、または、その能力を指します。
ギフテッドチャイルドで、発達障害の要素を持っている子供は、2E(二重に特別な)と言います。
欧米では、特別な教育が受けられますが、日本にはありません。
(知能が高いのだからいいじゃないか、何とかやっていけるだろう)と世間の人は思うかもしれません。
けれど、当事者にとって、学校や社会はとても生きづらく、不登校やひきこもりになってしまう人も多いのです。
例えば、学校では、彼らにとって瞬時に理解できることや興味のないことを何時間もかけて学びます。
本人が意味の見いだせない反復学習や丸暗記等、みんなと同じことをするように強要されます。
変わった子、わがままな子と周囲から見られて孤立していきます。
自尊心はズタズタです。
通常学級でも特別支援学級でも、学校で居場所を見つけるのは、難しいと思います。
学習内容が理解できないのに、教室でじっと座っているのは、とても辛いことです。
逆に、「吹きこぼれ」と言われる子供も、興味のないことや分かりきっていることをさせられるのが、とても苦痛なのです。
台湾のIT担当政務局員のオードリー・タンさんは、「マスクマップ」のアプリの開発に関わり、新型コロナウイルス対策で注目されました。
IQ180で中学中退、トランスジェンダーも公表しています。
日本では、彼のような人材は、なかなか登用されないと思います。
だから、日本が世界から遅れてしまうのではないでしょうか。
もちろん、ギフテッドの人がみんなエジソンやアインシュタイン、ビル・ゲイツのようになれるわけではありません。

サラリーマン的な働き方も難しいかもしれません。
でも、得意なことを生かして社会参加はできます。
排除してほしくありません。
どんぐり発達クリニック院長の宮尾益知先生が、教育新聞のコラム「『ギフテッド』の子ども達 ―天才が過ごせる環境作り―」で、STEM教育を紹介されていました。
(以下部分引用)
・STEMライブラリー(オンライン図書館。経産省の「未来の教室」事業のひとつ。
企業や研究機関によって作製され、STEM教育のコンテンツとして公開されている。
個人でのアクセスも可能で、幅広い分野のテーマの中 から興味のあることを選べる)
充実したライブラリーを使うことによって、全国のギフテッドや2Eに子供たちが最先端にアクセスできる可能性も高まる。学びの場は学校だけとは限らない。こうした知のプラットフォームで、関心のあることをどんどん自分のペースで学べるようになれば、彼らの才能を伸ばすチャンスも増えるのではないだろうか。
・クリニックのオーク発達アカデミー
専用ウェブサイトを開設し、保護者同士の交流、情報交換の場を提供している。
ギフテッドは、その親もまたギフテッドであるケースが多く、子供とよりよい関係を築くためにも、こうしたネットワークから得られるアドバイスは貴重である。
子供たちには、仮想現実や360度カメラ、ドローンなど最先端の技術に触れられる体験会を開いてる。最先端の技術や専門家との出会いこそ、ギフテッドの子供たちが求めているものだ。
「このようなギフテッドの子供たちのための教育の場が、日本においてより身近なものとなってほしい。今後研究が進み、ギフテッドの子供たちへの対応の仕方や教育方法が確立すれば、彼らは周囲の助けも借りながら自分の才能を思う存分伸ばし、無理なく社会生活を送れるようになるだろう。そして、彼らの才能が、技術革新や世の中の発展に貢献していく。そいう社会が一日も早く実現するよう夢見ている」(引用終わり)
どんぐり発達クリニック院長の宮尾益知『ギフテッド』の子ども達 ―天才が過ごせる環境作り― 教育新聞
ギフテッドの子供への教育は、まだまだ提唱され始めている段階です。全ての子供たちに光が当たり、一人ひとりに合った学びのできる社会になってほしいと心から願います。
